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バックパッキングとは?
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バックパッキングとは?

 皆さんはバックパッキングと聞いて何を思い浮かべますか? アウトドア経験の少ない人であれば「世界中を貧乏旅行すること」と答えるかもしれませんが、これからお話しするそれは、バックパックを背負い、野営をしながら山野を歩くスタイルのことであり、その行動原理と必要な道具、そしてその体験から得られるものにおいて、これら二つの遊びは全く異なります。
 バックパッキングを楽しむ上で、必ずしもその歴史や背景を知る必要はないかも知れません。しかし、ただ単に自然の中に入って野営をするだけでは、真にバックパッキングの魅力を体験したとは言えません。なぜならば、この遊びには週末のオートキャンプにはない、スピリットとマインドがあるからです。

 

バックパッキング・ムーブメント 

 バックパッキングは1960年代のアメリカで生まれました。ベトナム戦争がもたらした社会に対する不安や疑問から起こった反戦運動は、各地の大学生を中心としたヒッピー・ムーブメントとなり、やがてその運動は「ホール・アース(Whole Earth)」というスローガンを掲げ、人間だけでなく水や森や空気も含めて「世界は一つ」であるという自然回帰の思想へと発展していきました。
 若者達は大きめのフレームザックに数日間の山での生活に必要な道具を詰め込み、一人、または気の合った仲間と共に原生自然:ウィルダネス(Wilderness)を目指しました。彼らはヘンリー・デビッド・ソローの『森の生活』(1854年初版)や、自然保護の父と呼ばれるジョン・ミューアの書籍を愛読し、そこに書かれている自然回帰のメッセージに従いながら、自然を散策する旅人となったのです。
 今では環境問題や自然保護という言葉は珍しくもなく、むしろその思想の多くは現代の私達の生活の一部になっていると言えますが、これらの思想が社会へと浸透した大きなきっかけが、このバックパッキング・ムーブメントにありました。

 

家を担ぐという考え方

 バックパッキングのスタイルを形成する最も重要な骨格は、ソローが『森の生活』で言っている「人間は無しですませるものが多いほど豊かである」というシンプル・ライフの考え方にあります。バックパッキングの父と呼ばれるコリン・フレッチャーは、1973年に発表した「The New Complete Walker*」(邦題=遊歩大全:芦沢一洋氏(翻訳))の中で、「家を背負って歩く」という言葉でバックパッキングを説明していますが、すべての荷物は自分で担ぐのですから、普段の生活で使っているようなものを、何でもかんでも持っていくわけにはいきません。頭を悩ませながらも、数日間の山での生活に必要なもののみをバックに詰め込むという作業は、それ自体が自分の生活にとって必要なものを見つめ直すことでもあります。

 

大自然と一体となる喜び

 バックパッキングを通して原生自然の中に入り、静寂に包まれながらも野生動物たちの気配に満ちた夜を過ごすと、いかに人間がちっぽけな存在であるかを、感じずにはいられません。しかし、雨露をしのげるテントと寝袋があれば、どんな闇夜でも安心して寝ることが出来ることを知ることもできます。そしてそれは、自分の中に自然を育む大いなる第一歩です。

 原生自然の中で過ごす時間は、私達の生活に本当に必要なものが何であるのかを考えるきっかけを与えてくれます。シンプル・ライフとはただ簡素に生きることではなく、生活にとって必要なものを見極め、真の豊かさを手に入れようとする積極的な姿勢であり、この人間の生活原理の探求に、バックパッキングの本質の一端があるのです。

 

 バックパッキング初日。背中にずっしりとした重量を感じながらも、トレイルヘッドを出発して自然の中に一歩踏みこむ時、まさしくこの瞬間に感じる豊かで自由な開放感にこそ、バックパッキングの喜びが詰まっているように思えてなりません。

石塚  

*原書は1968年発行の「The Complete Walker」 です。

 

参考文献:
「バックパッキング入門」芦沢一洋(著)
「遊歩大全」コリン フレッチャー (著),、芦沢 一洋 (翻訳)
「森の生活」H.D. ソロー (著)、飯田 実 (翻訳)

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グレート・セブン・トレイルズ|カナダ・バックパッキング  

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